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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第16章 聖の本気

「奏多、大丈夫?」
「…………」
「奏多?」
「朝陽は……強いね。私は朝陽のようになれないよ」
「私? 強くなんてないわ。でもね、怯える奏多を見捨てるなんて出来ないの、これでも威勢を張っていたんだから」
「それでも、弱いのは私だけ。あんな風に切り返すことも、言い放つことも出来ない」

そう、私は守られてばかり。朝陽のような度胸もないし、聖さんや巽さんのような行動力もない。
ただ怯え、されるがまま。もっと強いと思っていたのに、実際の私は一番弱いって思い知ったよ。

「ねぇ奏多。人にはそれぞれ性格があるんだから、強いも弱いもないと思うわ。
私はほら、遊んでばかりだから慣れてるだけで、奏多は奏多のいいところがあるじゃない」
「そんなのあるかな」
「あるわ。誰にでも好かれること。それが奏多のいいところでしょう?」
「……変なのにも好かれるけど」
「それ三科さん? なによあの捨てセリフ、女に言う言葉じゃないわ。奏多が嫌いって言うのよく分かったもん」

私の代わりに怒ってくれる朝陽が、泣けるほど嬉しい。疑ってごめん朝陽。やっぱり朝陽は朝陽だよ、私の一番の友達。いつか本当のことを言うから、絶対に言うから、それまで許して朝陽。

「じゃあ、女子更衣室にレッツゴーね」
「……え?」
「あぁ言っちゃったもの、行かないと変に思われるでしょう?」
「あ、そうか」
「だから休憩いってらー」

無理やりだけど、私を休憩に出して朝陽は知らん顔。
……ありがとう朝陽。

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