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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第16章 聖の本気

◇
朝陽がああ言ってくれてから、三科さんが受付に近づくことはなくなり、夕方終業後は聖さんの元を訪れる日々。数日やってみて、このサイクルに少しだけ慣れてきたとは思う。
「仕事終わったんですが……」
「今日も部屋に居るよ。上がっておいで奏多」
「はい。今から行きます」
更衣室で私服に着替えた後、私はエレベーターに乗り聖さんの部屋を目指す。
聖さんが言った通り、こんな場所を私が歩いても、誰も口を出して来ないの。本当は少し不安だった……なんて、聖さんには言えないよ。
『コンコン』
「聖……さん?」
「毎日仕事が遅くてすまないね。週明け週末はどうしても仕事が多くて抜けられないのか痛いかな?」
「仕事、大変そうだから。
私、コーヒーでも淹れます」
「悪いね奏多」
聖さんは超多忙。部屋に一人なんて言っているけれど、大量の書類と端末はずっと動きっ放し。聞けば全部他部署とのやり取りらしい。
そんな中で私が出来ることといえば、こうしてお茶を淹れることや、散乱した書類を整理してあげることくらい。後はソファーに座って聖さんが終わるのを待つの。
「どうぞ」
「ありがとう奏多。今日は週中だからね、いつもより早く終わりそうだよ」
「毎日これじゃあ、聖さんが潰れちゃう」
「さぁ……。頭と目と手は動いているけれど、体は動かしていないからね。意外と体力は余っているかも知れないよ?」
「集中するほうが疲れると思う」
コーヒーを差し出したら、少し休憩と聖さんはカップを手にコーヒーを飲み出す。こんなのも日常的になったんだよ。

