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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第16章 聖の本気

「奏多が淹れるコーヒーは美味しいね。僕が自分で淹れると、あまり思わないのに……」
「同じ物を使ってますよ?」
「くすくす。
奏多が淹れてくれるから美味しいの間違いかな?」
「煽てても、なにも出ないと思います」
聖さんの優しい言葉も、だいぶ聞きなれたと思う。だって普通に話すことが出来るようになったもの。相変わらず敬語は完全には抜けないけれど、私的には大進歩したんだよ。
「つれないね?」
「そうかな?」
ギシっと音を立てて、聖さんが椅子から立ち上がる。向かって来るのは私の側、少し笑ったと思えば私を抱き締めて来るの。
「ひ、聖さん。ここ会社の中……」
「奏多が来ている時は、扉の鍵を閉めているのは知っているよね? だから誰も入って来れない」
「だけど会社だから」
「オフィスで、というのも男性の夢なのだけどね」
「それは本とか、お話の中だけで……」
「現実にするのも悪くないよ奏多」
「……あっ」
しっかりと腰を捕まれ、私と聖さんはキスを交わす。軽く触れる唇、愛しそうに何度も角度を変えて触れ合うの。優しいキスは逆に私の欲情を煽る。もっと激しいキスを……とろけるくらいの熱いキスが欲しい。
「……堪らないといった顔だね」
「だって、聖さんがこんなキスをするから」
「でも今日のところはお預け。本当に仕事が終わりそうだから、外に出てから……ね?」
「聖さん……んっ」
もう一度唇が触れ合っただけで、聖さんは私を解放してくれた。それなのに、煮えきらないのは私のほう。もう少しキスしていたかったなんて、恥ずかしくて言えるわけがないでしょう?

