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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第16章 聖の本気

私の家から運んでくれたんだ。使い慣れした家具、そのほうが私も落ち着けるよ。でも少しは変わるんだね、それは仕方がないとは思う。そもそも家が違うのだから。
「奏多、鍵を渡す前に約束して欲しいことがある」
「約束……ですか?」
「そう。あくまでも奏多の安全を考えた上での引っ越しだからね。約束して欲しいのは、一人で買い物とかには出ないこと。ハウスキーパーを頼んでいるから、食料品や生活品は切らさないように向こうが購入してくれる。もし必要な物があれば、メモを残してくれれば買い足ししてくれるように頼んでいるよ」
「それって、仕事以外にはどこにも行けない」
「そのために僕や巽が居る。どちらに言っても奏多の買い物には付き合うし、行きたい場所にも連れて行ってあげれるからね」
つまり、一度家に入れば、仕事以外で私が一人で行動しちゃいけないということ。束縛とも感じるけれど、社内であの三科さんの態度を見た後だもの、私はその約束で素直に頷いた。
「よかった。君になにかあったらと思うと、僕も気が気でないんだよ。新しいマンションには前以上の設備を調えたつもりだから、家で十分に寛げると思う。
……約束してくれたからね、はいどうぞ」
「……鍵……」
テーブルの上に差し出されたのは、普通の鍵とカードキーなのかな? まじまじとそれを見ていたら、聖さんは少し面白そうに笑う。
「カードは正面ゲートのロック解除のためのだよ。正面からエントランスに繋がっていて、一日中フロントに人が在中している形式。フロントに頼めば宅配から来客応対までしてくれるから、有意義に使ったほうがいい」

