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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第16章 聖の本気

社長息子で高嶺の花。そのイメージが強く、私は聖さん本人を見ていなかったと思う。本当の聖さんは優しく紳士的。少し強引なところもあるけれど、こうして見れば普通の25歳の大人と変わらない。……変わらないのよ。
バタバタで楽しい街歩きも疲れた頃、私と聖さんは海を見渡せる公園にやって来た。車の中から見ていた景色も綺麗だったけど、こうして止まって見る夜景はもっと綺麗に輝いて見えるの。
「寒くないかい奏多?」
「平気。景色のほうが綺麗だから」
「すっかり湾岸線の景色が気に入ったようだね」
「うん……こういうの好き」
「そう。でも風邪を引かせてはいけないからね。……もう少しこっちにおいで奏多」
「……聖さん」
少し近づけば、聖さんが羽織っていた上着を私にかけてくれて、そのまま肩に手を回して私を引き寄せてくれた。温かい聖さんのぬくもりに、ドキッとしてしまう私。背の高い聖さんに包み込まれているみたいで、心がドキドキするの。
「このほうが僕も奏多も温かいね」
「……うん……」
「周りもほら……僕たちと同じ」
「……え?」
よく見回せば、私たちと同じように夜景を見ながら抱き合う男女の姿がまばらにあるよ。夜の公園って、こういう場所でもあったんだ。私は殆どデートなんてしたことがないから、全然知らなかったよ。
「いいね、色々と忘れてこうしているのも。僕は殆ど経験がないから新鮮に感じる」
「わ、私もないです。デートなんて数えるくらいしかしたことがないの」
「デート。そうだね、これもデートだね……奏多と」

