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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第16章 聖の本気

「聖さんとデート……」
そう思った途端、顔が熱くなるのを感じる。そうだよね、これもデートなんだ。最近は聖さんと一緒だっただけに意識していなかったよ。
「……本当は……ここから始めるべきだった。
なのに僕たちは基本的なことを忘れていたとは思う。あんな変則的な出来事から始まってしまったがゆえに、奏多に普通のことをさせてあげられなかったのを悔やんで、今日ここに来てみたんだよ」
「普通。……普通のことなんですよね。食事に行ったりデートしたりして、彼氏と楽しむのが……。短大時代に付き合った彼氏とは、デートなんて殆どなかったんです。ただ同じキャンパス内で、一緒に行動していただけ」
「奏多もなかったんだね。……もう少しデートを楽しみたいかな? あれ、分かる?」
聖さんが見上げるほうを私も見てみれば、見えるのはこの場所で一番目立つ大観覧車。
「乗ったことは?」
「子供の頃に遊園地の観覧車くらい」
「じゃあ乗ろう。もっと夜景が綺麗に見えるはずだからね」
手を繋いだまま、私たちは大観覧車に向けて歩き出す。この場所に来たことのない私でも、あの大観覧車は知っているよ。テレビとかでも有名だし、なにより眺めが……この辺りを全て一望出来るの。
下から見上げても、一番上が見えないくらい高い観覧車。平日で人も少ないから、待ち時間無しですぐ観覧車に乗ることが出来た。

