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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第17章 巽の本気
「……よかった」
ベッドの色も、カーペットの色も、極力前に似ている色を選んでくれていて、この部屋だけは居心地がよさそう。後は持ち出した荷物を整理すればと、クローゼットを開いたんだけど……。
「…………」
言葉が出ないって、こんなことを言うのかな? 中は服が一杯入っていたのよ。しかも私が知らない服が沢山、それに高そう。
「…………。
これ、着れってこと?」
カジュアルから、いかにもブランドですという物まで多種多様。元々そこまで服は多く持ってはいなかったよ、でもこれはやり過ぎだと思わない?
並みいる服たちは一旦無視し、荷物整理だけをしてクローゼットを閉じちゃった。……あんなにあっても使えないよ。
「あ、食材は補充と言われてた」
戻って冷蔵庫を覗けば、これもまた山のような食材がびっしり。確かに買い物には行かなくて済む、それと消費するは別問題。
「限度知らず」
ハウスキーパーが定期的に入るってことは、食材も色々変わる……で、合っているのかなぁ?
食べきれない分は破棄? それ、勿体なくない?
「メモに書いて置けば、少しは自由になるんだよね?」
足りない物より、不要だから買わないでになりそうなのが痛いよ。でもね、ずっと独り暮らしだった私には、この無駄が許せない! 食費軽減のために、お昼はお弁当持参の私だよ? この価値観の差だけは、ちゃんと言わなくちゃ。
漸く新しい部屋来て小一時間の出来事。それだけでグッタリと疲れた気分。