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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第17章 巽の本気
「見てたけど、そんな話とは思わなかったわ。聖様も『奏多』って呼び捨てにしていたし、奏多……本当に聖様と付き合っているの?」
「どう……なんだろう、私にも分からないよ。ただ聖様のところに行って、お話にお付き合いして、送って貰うだけ」
「本当にそれだけ?」
「…………うん」
朝陽には言えない。三科さんに襲われてから、聖さん巽さんの本気の約束のこと。特に一昨日の大観覧車、あれだけは無理、余計に誤解を招くもの。
『誤解じゃないよ』。そう聖さんは言ってくれたけど、それが広まると私より聖さんの立場が悪くなるのは明白。幾ら気にしないと言われたって、ちゃんとした線引きは必要だと思う。
「でもさ、どうして奏多なんだろう?」
「それを私に問われても困るよ」
「理由なく動く人じゃないでしょう。あの聖様よ、打算がなければ動かないわ」
「……なんだか朝陽のほうが、よく知っているみたい」
「……へ? まさかぁー!
聖様の噂はかなり多いもの、色々と聴こえてくるだけだし」
「そう? 私は最近までよく知らなかった」
噂好きの朝陽だけど、こんなにも聖さんの噂を聴くものなの? 私だって受付に居るから、普通の社員よりは話を耳にするけれど、一定以上の上役の話なんて、殆ど流れて来なかった。あまりにも上過ぎて話にも上らないの。上司の悪い噂は耳にするけど、いい噂は流れることは少ない。
聖さんの噂も、普通の社員が予想で言っていた話程度で、本当のことは丸っきり知らなかったくらいだから。