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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第17章 巽の本気

(あれ? そういえば……)

あの問題の飲み会の時、聖さんが通った後、朝陽は不機嫌そうにお酒を一気飲みして大暴言。その後になにかを言ったよね?
『理不尽……。…………って、いつもそう』……だったはず。
私も酔っていて、はっきりした確証はないけれど、あの時の言葉は、『理不尽……。聖って、いつもそう』そう聞こえた。

(え? え? ちょっと待って!?)

思い出したあの時のこと。
でも、どうして朝陽が?
私の記憶での範疇だけど、『聖様』でも『聖さん』でもなく、ただ一言『聖』だったと思う。
ということは、朝陽は聖さんを個人的に知ってる?
先ほどの言い分と合わせても、聖さんを知っていなければ言えない言葉。……なぜ? 朝陽と聖さんの間に、なにがあるの??

(あまり考えたくないけど……)

せ……セフレとか、聖さんが二股をかけているとか、思うのは悪いことばかり。
だって私以上に接点がないでしょう。そして朝陽はいつも『社長息子なんて面倒くさい』と言う。どうして面倒くさいと思うのか、私は深く考えていなかった。

「朝陽。やっぱり聖様を知っているんじゃない?」
「私が? なんで?」
「飲み会の時、朝陽は小声だったけどこう言ったよね、『理不尽……。聖って、いつもそう』……って。絶対に私の聞き間違いじゃない、朝陽は確かに言ったのよ」
「あ……私……」

それまで元気だった朝陽が、私から目線を外すようにして、向こう側に顔を背けてしまった。……ということは、朝陽は間違いなく聖さんを知っている。

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