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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第17章 巽の本気
◇◇◇
奏多が部屋から出て行き、正面まで到着する僅の間に、僕は巽に連絡を入れる。
「……どうした聖?」
「奏多が『あれ』に気づいたよ」
「あぁ、知っている。……で、聖のことだから理由を説明したのか?」
「説明はしていない。暫く時間が欲しいと、奏多の質問を突っぱねたよ」
「ほぉ、そいつは意外だ。俺は話すと思ったんだがな」
「今、彼女に話してどうするんだい? まだ目的の最中なのに、ネタをバラすことは僕でもしないよ」
そう。金森朝陽は彼女を守るためのフェイク。三科が彼女に近づきつつある今、金森朝陽を奏多から遠ざけるわけにはいかない。
それに……今話すのはフェアーじゃないと僕は思った。だからこその沈黙、彼女には辛いことが分かっていても、答えないを選ばざる負えなかったというところ。
「それは俺も話すなということだな?」
「そう。まだまだ必要だからね。互いの溝は深そうだけど」
「溝……な。確かに深いだろうさ。それでも……まぁいい、奏多がこっちに向かってんだろ、バレないうちに切るぞ?」
「色々あったからね、ゆったりとした週末を送らせてあげたいね」
「……分かった」
切れたスマホを見て少し笑う。成り行き上見つかってしまったものは仕方がない。問題はこれからどうするか。彼女のあの感じでは、金森朝陽との仲はギクシャクしていると見る。
「もう少し……三科の息の根を止めるまで、彼女が確実に安全と分かるまで、金森君には彼女に付いていて貰わなければいけない。……後は金森君の自主性だけどね」
どう選択するのだろう?
これだけは僕にも分からない。金森朝陽はなにを思う? それは彼女自身が決めることで、僕は口を挟めない。