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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第17章 巽の本気

◇◇◇

(なんだか久し振りかも)

終業時間後のエントランス。近頃は聖さんと一緒に降りて来ていたから、こうして一人で歩くのは……半月振りくらいかな?

(今日は一人のほうがいいけれど……)

はっきりいって、聖さんの話に私は戸惑っている。嘘を吐いている感じではなかったよ、でもはっきりと隠し事をされるとは思わなかったから。
エレベーターの中で、かなり気持ちの整理は付けたつもりだけど、不安感は消えないよね。

(女性としてではなくても、必要な存在。それって一歩間違えば女性として見るということじゃない)

私が自惚れていたのかな?
聖さんと巽さんに、あんなことを言われたから。でも現実は少し違ったみたい、朝陽のほうが先を行っていたんだね。私なんかより余程社交上手の朝陽だもん、意外にアリなのかも知れないと納得出来るのよ。

(昨日頑張って模様替えしたのに、もう前の家に戻りたくなってきた)

この話を聞いてしまったら、二人が用意したマンションに住むのはもの凄く気が引けるでしょう。私の代わりに朝陽でもいいんじゃないの?
……って、あれ? なんで私はこんなに複雑な感情なんだろう? 朝陽が二人を知っていたからって、私が嫉妬する理由にならない。

(………………嫉妬!?)

えっ、えっ、えぇーーっ!?
今なにを思ったの私!
嫉妬って、嫉妬って、私が朝陽に嫉妬して……る?

(ない! 絶対にないよ!)

聖さんと巽さんに惹かれはするよ。揃って私を大事にしてくれるのも理解してる。それと朝陽に嫉妬するのは別問題の……はず。

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