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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第17章 巽の本気

「やっぱり見てた」
「だから偶々だ。車まで歩けるか奏多?」
「なんとか……」

巽さんに支えられて外に出て見れば、正面に巽さんの車がある。普通正面に車なんて停められない、停められるのは一定の役職を持つ人たちだけ。それなのに平気で駐車出来るんだから、巽さんも社内で立場があったということ。

助手席に乗せて貰い、私はやっとホッとした、ため息が出てしまう。また全力で走ったせいで足は痛いけれど、三科さんに捕まると考えれば、私は何度でも走ると思う。

「大丈夫か奏多」
「大丈夫、今日は腕を掴まれただけだから」
「社内でも……あの野郎。
今度からは俺がエレベーターホールまで迎えに行く、もう二度とこんなことはさせん」
「……うん……」

落ち込む私を励まそうとしてくれているのか、巽さんの手が私の頭を撫でるの。

「そこまで気づかなかった俺の不注意だ、悪い」
「うんん、私が考えごとをして、周りを見ていなかったのが原因だから、巽さんは悪くないよ」
「考えごと……金森朝陽か?」
「巽さん……それ……」
「直前に聖から連絡があった。すまんな色々言えんことばかりで。そのうち俺から奏多に話す」
「巽さんが?」
「そもそもの原因は俺なんだ。だから彼奴らを責めないでやってくれ」
「やっぱり巽さんも、朝陽を知っているんだね」
「まぁな。一つ言えることは、俺たちが彼奴に奏多を守って欲しいと頼んだということか。彼奴朝から駅に居るだろ?」
「…………あ!」

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