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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第17章 巽の本気

そう! 私どうして気づかなかったの!?
朝陽は私より出勤が遅く、いつも始業ギリギリ到着派。これは着替えも化粧直しもしない朝陽だから出来ること。ということはね、私より遅い電車に乗っていたことになるの。でも今週は私と同じ時間に出勤、朝陽にすれは早すぎなのを気づかないなんて、私の……バカ。

「……朝陽……。
それなのに私……朝陽が一番嫌がることを言ったんだね。……その罰が三科さん」
「一緒にするな。あれは偶然の確率か、毎日見張っていたんじゃないか? 今までは聖がガードしていたから手出し出来なかったが、今日は奏多一人、チャンスだと思ったんだろう。全くしつこい奴だ」
「でも!」
「でもじゃない、真実はしっかり見極めろよ奏多。
ついでに『でも』の口癖は止めたほうがいいな」
「……え?」

出勤の時に言った朝陽と同じ言葉。私って巽さんにも言われるくらい、その言葉を使ってる? 私は全然思ってもいなかったのに、一日に二回も言われるとは……やっぱり使っているのかな。

「でもより、はっきり言葉にしたほうがいいってことだ。さて、これからどこに行くか……」
「そ、そうだよね。いつまでも駐車しているわけにはいかないよね」
「まぁな、正面に長々居ると、余計なもんに捕まるしなぁ。さっさと退散するぞ奏多」

車は会社から飛び出し、暫く当てもなく街中を走る。そのうち場所が決まるだろ、なんて巽さんの軽口つきで。

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