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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第5章 もう一人の社長息子
「それ以上……こんなことか?」
片手は掴まれたまま、反対の手が私の頬を撫でるように触れて来る。
その手にゾッとしてしまう私の体、拒絶する心。
「……いやっ!!」
反射的に空いている手が動くが、空を切って終わり。
避けられたんだという自覚もなしに。
「おっと。
そこまで嫌か、男に触られるのが。なにがあった? なぜそんなに嫌がる……奏多?」
「あ……私……」
奏多と呼ばれ、初めてこの人……いや、巽さんの顔を本気で見た。
その顔は、先ほどとは違い本気で疑問に答えが欲しそうな瞳。
男性のこんな瞳を、私は初めて見たと思う。相手に対する真摯な瞳を。
その瞳にほだされる。
この人には話して大丈夫だと。
「……短大時代に付き合った彼氏が居たんです。
普通に付き合い、当然の流れのように……その……」
「セックスか?」
「はい。
私は……処女で、彼を受け入れる時に痛みで拒絶してしまいました。
それからも、何度か彼からモーションをかけられましたが、あの時の痛みを思い出し頷くことが出来ず……最後には彼に違う彼女が出来ていて、私は……」
「……初めをしくじると辛いな。奏多、お前に非があったわけじゃない。女の破裂の痛みは男の想像以上だと聞く。
だがな、殆どの女は、それを乗り越えているんだ。それも分かるな?」
「それは分かっています。
でも怖さから心が拒否してしまう」
「理解は出来るが、それで良いのか?
ずっとそうして拒絶して生きて行くのか?」