この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第18章 心境複雑中
やれやれという顔で、巽さんは私から離れてベッドに座ってしまった。またいい雰囲気を壊してしまった私、でも聞きたかったし知りたかったの……巽さんのことを。
「……あぁ、無かったか」
「????」
「ん?
あーなんだ、苛々するとつい煙草が吸いたくなるんだよ。三科の野郎の話でつい……な」
「煙草……吸ったんだ」
「日に数本程度、夜寝る前なんかに吸う。後は車の中くらいだ」
ポケットを探して、諦めたように手を下ろす巽さん。でも、車の中は煙草の匂いはしていなかったと思う。
それにしても驚きの喫煙発言だよね?
「……意外か?」
「凄く意外。だけど煙草の匂いは嫌いじゃないの」
「嫌じゃなかったのか」
「うん。特にフレーバー系は好き、私は吸えないけど」
「先に知っていれば苦労しなかった」
「……え?」
「嫌いだと思い、匂い消しに奔走していた。……はぁぁ」
「ごめんなさい、吸うと思っていなかったから」
「いや、隠していた俺も悪かったんだ、やはり車から煙草を取って来る」
すれ違いの事実に、巽さんはガックリとうなだれながら煙草を取りに行っちゃった。でも灰皿になるような物なんてあったかな?
「キッチンにある?」
まだ勝手の分からないキッチンを覗いていたら、しっかりあるのよ灰皿が。
私が見たことがないということは、聖さんが用意した……だよね。巽さんが煙草を吸うと知っていたから、さりげなく用意されたかな?
数個あった灰皿を持って部屋に戻るのと、巽さんが煙草を持って戻って来たのはほぼ同じタイミング。巽さんも灰皿を見て驚いてるよ。