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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第18章 心境複雑中
「灰皿……あったのか」
「用意してくれていたみたい」
「なるほど聖だな。俺が吸うと知っているんだ、考えれば当たり前か」
「やっぱり知っているんだね」
「聖の前で吸ったのは殆どないが、まぁ分かるだろうさ」
部屋に戻りながら、用意周到な聖さんへの小さな愚痴。こんなのも面白いよね。兄弟でも違うって分かることだから。
部屋に入ってから、巽さんはまたベッドに座り、今度こそ持って来た煙草に火を点けて、フゥーと煙を吐き出す。それをカーペットに座りながら見ている私。煙草も甘い匂いがして、本当に嫌いじゃないみたい。
「煙くないか?」
「平気。その煙草から甘い匂いがするもの」
「軽く香料が入ったタイプだ。何種類か試したが、これが気に入ったんでずっと吸っている」
「ずっとって……巽さん20歳……」
「それなら聞くが、奏多は幾つで酒を覚えた? 同じことだと俺は思うぞ」
「あ、そうか……。
お酒は短大時代に、サークルとかの付き合いからかな? だからもう数年」
「俺もさほど変わらない。酒も煙草も高校卒業後だ」
「ぷっ、同じだね」
「だろ?」
同い年のせいなのかな、こういう話は巽さんとのほうが合う。それとも飾らない性格のせい? 同世代として話す巽さんは楽しいの、私も好きなことを言えるからかな。
「煙草を吸っている男性って格好いいと思う」
「……は?
いや、今は禁煙志向だから、煙草を吸う奴も減ったな。俺が遊んでいた頃も半分以上は吸わない奴だった」