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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第18章 心境複雑中
「子供の頃は、もっと吸っていた人が多かったと思うのに、今はあまり見かけない。煙草を吸う仕草が好きなのに……」
「意外なのが好きだな」
「意外なのかな?
一度だけシガーバーに行ったことはあるの。私は吸えないから見ているだけ、それでもよかったと思ってる」
「ああいう場所は男ばかりだろ、よく行ったな」
「雑誌で見て気になり、どうしても行きたくなって、煙草を吸う短大の女友達と行ったの。雰囲気もよくて大人の世界という感じ」
「本当に意外な趣味だ」
そこまで意外?
私の家は父が煙草を吸うので、煙草自体には慣れている。それが見ているのが好きに変わったのはいつの頃だろう??
(……そう、短大の頃に憧れていた先輩が煙草を吸っていたから)
好きとかじゃなく憧れ。
あの時はみんな憧れていたと思う。イケメンでお洒落な先輩。その先輩がキャンパスの外に出ると煙草を吸うのよ。当時の私はそれを見て格好いいと思った。そして今の巽さんも……。
フィルターを持つ仕草とか、煙を吐き出す仕草、トンっと煙草の灰を灰皿に落とす仕草とか、男性のこういう何気ない仕草は好き。ずっと見ていたいくらい。
「そんなにまじまじと見るものか?」
「あまり見れないもの」
「そこまで吸うほうじゃないんだが、奏多がそう言うんだったら本数を増やそうか」
「……へ?
それはダメだよ、体に悪いもん」
「何本吸っても害は同じだぞ?」
「そう?」
「日に何箱もっていうなら問題があるが、あいにく俺は空き時間以外は吸わん」