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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第19章 奏多の本気
◇
終業後、特別用事がなければ聖さんの部屋に居るのが普通になってきた。用事があったとしても、受付から出れば人の目は冷たい。本当に一部女性社員から恨みを買っているくらい、女性の嫉妬って怖いよ?
人を羨む時の女性は、やり方が陰険。まだロッカーとかに細工とかはされていないけど、ワザと更衣室から締め出されたり、化粧直しをしている時に『邪魔よ』と、突き飛ばされたことも……。社内でどれだけ聖さんが話題性があるか、まさか私が身を持って体験することになるなんてね。少し前の私だったら、全く考えていなかったと思う。
「はい、どうぞ」
「いつもすまないね奏多」
「これくらいしか出来ないから」
「僕は奏多が居てくれるだけで癒しだよ」
聖さんはこう言ってくれるけど、はっきりいって今の私はお荷物状態。必要書類の受け渡しも次の日になっていて、急ぎのものは聖さんが直接渡に行く始末。
幾ら聖さんの希望とはいえ、これだけは引け目に感じてる、私が仕事の邪魔をしているのは明白だもん。
「そう、週末は楽しかったかい?」
「まあ……。殆ど場所を移動せずでしたけど」
「ん? 行動派の巽にすれば珍しい」
「……ですよね」
ソファーに座り自分のコーヒーを一口……どう切り出そう、私が考えていることを……。
「僕とは違い、体を動かすのが大好きだからね」
「私もそう聞きました」
「主義主張は似ていても、個々の性格は正反対の僕と巽。でもね、それでバランスが取れてもいるんだよ」