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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第19章 奏多の本気
「それも聞きました」
「……奏多?」
巽さんの話も出ていることだし、今言わないと次に言える機会は、いつになるか分からない。だから……。
「聖さん、私一人で帰ってはダメですか?
電車とは言わず、タクシーかなにか使いますから。……今のままでは噂が更に広がるだけ、それは私にも聖さんにも不利益なことだと思うんです」
「なにかあった……いいや、聞かなくても分かるよ。かなりの嫌がらせをされている、違うかい奏多?」
「……はい。女性って、妬みを持つと、なりふり構わない時があるんです。大きな実害が出ないうちに聖さんと距離を取りたい。
聖さんが嫌いというわけじゃないんです。ただ……社内に居場所が少なくて……」
「……奏多……」
聖さんは作業する手を止めて、本気で考え出してしまった。でも私も本気なの。このままじゃ、私だけではなく朝陽にまで被害がいくかも知れない、第二の三科さんみたいな人が現れるかも知れない。そう思うと、やりきれない私の気持ち。
「我が儘……聞いて貰えませんか?」
「…………。
もう少し時間をあげようと思っていたけど、予想以上に現実は甘くなかったね。
奏多の言い分は、僕は承諾出来ないよ」
「聖さん!」
「僕か巽、どちらかを選んで欲しい。そうだね、期間は三科が出社停止になっているこの一週間。完全にどちらかを選んでしまえば、余計な噂も嫌がらせも消える。……こんなに急かすつもりはなかったのに、上手くいかないね奏多」
「……一週間……」