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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第19章 奏多の本気
まだ自分の気持ちでさえ、はっきりと分からないのに、たった一週間で私は決めなくちゃいけないの?
聖さんの言うことも分かる。聖さんか巽さんが、私のことを『自分の彼女』と言ってしまえば、手を出せる社員なんて居ない。だってここは伊礼物産、聖さんたちのお義父さんが経営している会社。その息子である二人に楯突いても得はないもの。
「一週間、それしか時間をあげられないのが辛いけどね、奏多の現状を考えると一週間がギリギリではないのかな?」
「そうですね。私もどれだけ堪えられるか分かりませんし、一週間というのは妥当だと思います。……答えが出るかは分からないけど」
「奏多は……」
少し悲しそうな顔をして立ち上がる聖さん。ソファーまで歩き、私をしっかりと抱き締めた。
「奏多は、どちらも選ばない。僕はそんな気がしてならない」
「…………」
「君は優しいから、どちらかを選んだ時、どちらかが悲しむそう思っていないかな?」
「…………はい」
やはりと言いたそうなため息を吐き、聖さんは私の横に座った。私を抱き締めたそのままで。
「『恨み言は言わない』、『互いに奏多の意思を尊重する』、これが僕と巽が交わした約束。奏多がどちらを選ぼうとも、選ばれなかったと恨み言を言うつもりはないよ。『決めるのは奏多』、僕と巽はそういったよね?」
「……聖さんにも、巽さんにも惹かれている私が居るんです。選ばずにずっとこうしていたいと思う私が……。そんなこと、贅沢な我が儘だと分かっているのに、私は……」