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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第19章 奏多の本気
私……バカだね。私なんかより聖さんのほうが、余程理解しているというのに、私が先に根を上げるなんて。だけどもう限界なの、周りの反応に心が悲鳴を上げてる。
一週間……私は決めなければならない、聖さんか巽さんか、どちらか一人を。……決め手になるのはなんなのだろう? 一週間で分かるかな私。
◇
聖さんは私を抱き締めたに留め、あの日は普通にマンションまで送って貰った。
それからも軽く触れるだけで、聖さんは私になにかするわけでもない。勿論週中なので巽さんに会うこともなく、一週間の半分以上は、何事もなく過ぎ去った。
無意味に経過される時間とも取れなくはないけど、私自身の心の整理をするには丁度よい時間だとは思う。……相変わらず嫌がらせは続いているけれど。
「奏多、たまにはどこかに行く? ……あーダメかぁ」
「ごめん。それだけは無理」
「ガード固いなーもう!」
「心配してくれてる。それは分かっているから、断り切れなくて……」
エントランス受付だけは、前と変わらない。朝陽がこうして普通に話してくれるのも大きいよね。
暇な時間を朝陽と話して過ごすのが、今は一番落ち着けるの。突きつけられた期限を少しでも忘れていられる、それが凄く重要だと思う。だって家に帰れば、考えるのはそのことばかり。刻々と時間は減って行くのに、私の心は定まらない。
穏やかで優しい聖さん。
俺様だけど気づかってくれる巽さん。
選びたくはないけれど、どちらも選ばないで会社から去る。
私に残された選択肢はこの三つのみ。