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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第20章 ほんとのこと

違うとすれば、座席の後ろに大きな荷物を積んでいること。これが巽さんの車との違いだと思う。
複雑な気分で色々と考えていれば、朝陽が車を発進させたの。

「その……運転大丈夫なの朝陽?」
「…………」

怪我をしたのは左腕だから、片手で運転は出来るみたい。でも左手はシフトに触れたまま動かすことをしない。必要最低限、それだけなのよ。不安と共に、どこに行くのかと思えば、車は会社から一分くらいの高級マンションの駐車場に入った。

(この辺りって、凄い高いマンションばかりって聞いているけれど……)

一世帯が何千万とか億単位と聞いたことだけはあるよ。私も会社から近いから物件探しをやったけど、手を出せる範囲の物件が一つも無かったのは記憶に新しい。そのマンションの駐車場に車を停めた朝陽、苦労して車から降りるから、私も降りて朝陽を支える。

「…………」
「……上?」

指が駐車場に併設しているエレベーターを指し、次に上というモーションをする。上に登る、朝陽はそう言いたいみたい。指示通りにエレベーターに乗れば、朝陽が回のボタンを押し、ほぼ最上階に近い階にまでたどり着いた。

「……どっち?」
「…………」

指差す方向のままに進めば、朝陽の足が止まる。また鞄から……今度はカードキーかな? それを取り出しスキャンさせ、高級マンションの扉を開いちゃったよ。……ここが朝陽の家なの? 想像していたのと全然違う。

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