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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第20章 ほんとのこと
(なんというか……無機質)
朝陽のことだから、私は女の子らしい部屋を想像していたの。だけど実際はモノトーンで統一された無機質な室内。どちらかといえば、女性というより男性向きの印象を受けるのよ。
そんな私を尻目に、朝陽はリビングで座り込んでしまった。そう! 怪我の手当てが最優先でしょう。
「朝陽、救急箱とかある?」
「??
…………」
少し考えた後、朝陽はキッチンを指差した。ここに救急箱があるということね。
私がキッチンで救急箱を探し、朝陽はそれを見て細かく指差して誘導してくれたお陰で、冷蔵庫の側にあった救急箱を見つけることが出来た。すぐさま朝陽のところに戻って救急箱の中身を確認。包帯、ガーゼ、塗り薬、消毒液、必要最低限の物は揃ってあるみたい。欲を言えば鎮痛剤や湿布も欲しい。あの感じだと腫れや熱が出るかもしれないから。
「手当てするから服を脱いで朝陽」
「…………」
「朝陽?」
なぜか朝陽は服を脱ぎたがらないの。怪我人に無茶なことも出来ないし、どうしたら手当てさせてくれるんだろう?
「ねぇ朝陽、そのままだと傷からバイ菌が入ってしまうから、お願い手当てさせて?」
「…………」
今軽くため息を吐かなかった? 私の勘違いかも知れない。でも朝陽は観念したように、巻いたスカーフを解いてゆく。
「…………」
「……??」
その時、小さな音がして、スカーフからなにかが転がり落ちた。よく見れば、小さな機械なのかな? そんな物が朝陽のスカーフに付いていたなんて……。