この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第20章 ほんとのこと

「おかしいとは思ってないよ」
「そうか……。
聖に相談し上手く配属先を決め、受付なんて目立つことをやっても、誰も俺だと気づかない。それが少し心地よかったのかも知れない……いや、親父は気づいていたか、なにも言わなかったが」
「……社長?」
そういえば、社長は毎日こちらを向いて挨拶していく。あれって社員のためもあるけれど、巽さんに挨拶もしていたんだね。
「楽しかったな。普段とは違う自分、軽口ばかり叩くもう一人の俺。なにより、奏多が普通に話してくれるのが嬉しかった。……騙しているという重荷はあったが」
「社会に出て友達も居なくなった私にとって、朝陽は一番の友達だと思ってたの。気楽に話せて、悪ノリも一緒に飲み会とかにも行ってくれる気さくな友達。まさか巽さんだとは思わずに、私は……」
「そう振る舞ったのは俺だし、騙したのも俺だ。……軽蔑してもいいんだぞ?」
「しないよ私は。一番始めに言ってくれたから……私のためだって」
私のために巽さんは無理をしていた。そう思うだけで……私は涙が出そう。
守るだけじゃなく、笑ったり楽しんだり、私の心を支えてくれていたのは……朝陽。
「守りたかったし、一緒に遊んでみたかった。金森朝陽を通してだが、俺も心底楽しんでたさ。……それももう終わりだな」
「……え?」
「バレてまで出来ることじゃない。第一俺が恥ずかしいだろ」
「全く別人だもの」
「そう思うよな」

