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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第20章 ほんとのこと


朝、私のほうが先に目が覚めた。先ずは巽さんの体温チェック。

「よかった、少しずつだけど下がってる」

まだ平熱ではないけれど、確実に下がっているから、傷が化膿する可能性も低くなるでしょう? まだ解熱鎮痛剤は必要、でも少しだけ安心出来るよ。
次に温くなったタオルとかを取り替えて……あぁ、この時点で巽さんが目を覚ましてしまった。

「お、おはよう」
「あぁ、おはよう。随分と朝から意欲的に動いているな?」
「必要なことをやっていただけだから。そう、朝ごはん食べられる?」
「そういやぁ、昨日はなにも食べずに寝ちまったか」
「お昼のサンドイッチとサラダだけ」
「あれは本当にカロリーコントロールだ。……流石に腹は減るぞ?」

楽になったのか、巽さんの口調も元通り。そして私も……巽さんだと気を使うのを止めたの。どうせ朝陽で知られているんだから、素の私でもよくない?

「じゃあ、朝ごはん作るから。その後に包帯を取り替えよ?」
「……ああ……」

別の意味で脱力している巽さんを置いて、私は昨日見たキッチンに立つ。
色々探したせいでね、それなりに食材があることに気づいたのよ。私のマンションと同じで、定期的に食材を補充するようにしているのかな?

(なに作ろう?)

怪我人であって風邪とかではないから、普通に物は食べられると思う。和? 洋? どっちだろう?

(……私のお弁当をよく見ていたよね)

うん決めた。朝からしっかり和にしよう!

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