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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第20章 ほんとのこと

噂をすれば影って言うのかな? 巽さんと仕事の話をしていたら電話が入ったのよ。要約すると、今週は有給扱いで休んでいいって。それに受付は、前に受け持っていた人を回すから心配ないらしい。……ただ、朝陽と連絡が取れないって困っていたけれど。
「な、大丈夫だろう?」
「でも朝陽に繋がらないって困ってた」
「あぁ、時間になれば自動で電源が落ちるようにしてあるからな、繋がらないか」
「後で連絡入れるの?」
「気が向いたら」
「本当にそれでいいのかな」
「心配はないさ。それより飯のほうがいい」
「あらら……」
これがね、昼の朝陽はどこにいったのと思うくらい食べるのよ。幾ら昨日の夜は食べていないといっても、ご飯三杯目だよ? それはまぁ……食べてくれるのは嬉しいかも。
「普段朝は?」
「近くのファミレス」
「朝陽の格好で?」
「時間かかんだよ。
化粧も落ちないシンクロ用を使っているし、ヴィックは面倒極まりない。ロングを選んで失敗したとは思ってる」
「なぜロング選択?」
ん? 巽さんの目が泳いでいるような……?
「奏多の真似。あの頃はロングだったろ、だからロングを選択してみたんだ」
「……私?
確かにロングだったけど、短大に入ってから邪魔だと切ったから」
「勿体ないな」
「髪はまた伸びるもの」
「それも一理ありか。ごちそうさん、旨かった」
「くすくす……」
後片付けをしながら、ちょっとだけロングだった頃の私を考える。私的には野暮ったいと思って切ったんだけど、男性ってロングに憧れるのかな? もう一度伸ばしたら、巽さんはなにを言うのだろう。

