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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第20章 ほんとのこと

(って、えっ? 私……なに考えてるのよ!?)

巽さんに言われたせいもあるけれど、もう一度伸ばそうなんて……。それって、巽さんに感化されていない私? だけど嫌とは思わないの、不思議なくらい言葉がストンと入ってくる。初めて会った時に感じた『知っている感じ』は、朝陽から来るものだったんだね。だから素直に聞いてしまう。

「食べたから一通り取り替えよう?」
「奏多がそこまで世話好きとは思わなかった」
「それ、少し失礼だと思う」
「……悪い」

包帯を外せば、まだ傷は乾いていないけれど出血は完全に止まっていて、変な化膿の色も出ていない。ということは、熱は本当に傷口からだけ。それに安心している私がいる。

「この程度だったら、包帯なんぞしないで放置のほうが治りが早い」
「せめて今日一日くらいは包帯をしてよう? まだ傷口は開いているから」
「仕方ないか」

巽さんは観念したように私に任せてくれる。昨日の手順でもう一度包帯を巻き終え、最後に解熱鎮痛剤を飲ませてあげた。『口移し』なんてバカなことを言っていたけれど、そこは綺麗に無視したからね。

「ちっ、つまらん」
「普通です!」
「せっかくの二人きりだというのに、ガッチリ服まで着て……って、服に血が付いているだろ」
「……あ、そうか。昨日支えた時に付いたかも」
「着替えな。朝陽の予備はあるがサイズが合わんだろ?」
「高さは合わないね」
「後か……俺好みでいいか?」
「た、巽さんの好み!?」

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