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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第20章 ほんとのこと

いい予感がしないのは、絶対に巽さんのせいだよ。
そして思った通り、渡されたのは男性用のワイシャツ一枚のみ。

「……巽さん……」
「なんだ? 彼シャツは憧れって聞いていたんだが?」
「朝からこれは恥ずかしいです! やっぱり朝陽の予備を貸して!」
「俺が見たいから嫌だ」
「えーー!!」
「??
奏多お前……敬語抜けたな」
「え? あ、うん。今更敬語もと思って……。どうせ朝陽でバレてるもの」
「それもそうか、俺もそのほうがいい」
「巽さんで朝陽の言葉使いをしてもいいよ?」
「……はぁ!?
と、とにかく着替えて来い」

照れる巽さんに、寝室に押し込まれちゃった。私もそうだけど、巽さんもどこか気楽に話している感じを受けるの。お互いバレたせいかな? 私としても、今の巽さんのほうがいいと思う。

「で! 本当にこれ一枚」

確かに彼シャツは女性の憧れだけど、いざそうなると目茶苦茶恥ずかしいってことに今更ながら気づいた。でも血が付いている服もちょっと……。
泣く泣くだけど着替える私。勿論巽さんのほうが背が高いから、私が着ると微妙にダブダブ。それに少し屈むと下着が見えてしまいそう。

「やっぱり恥ずかしい!」
「俺しか見ていないんだから気にすんな」

扉の向こうから巽さんの声。気にしないわけがないじゃない。こんな……やらしい格好をすると、絶対に巽さんに悪戯されそうでしょう?

控え目にリビングには出たよ。でもすぐにソファーに座ってクッションで前を隠してしまった。……巽さんがじっと私を見ているのが、いたたまれないよ。

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