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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第22章 どちらを選ぶ?
個人アカウントにアクセスした時に、奏多がコーヒーを持って入って来た。途端に香るコーヒーの匂い、俺はそれがお気に入り。
「巽さん……それ」
「あぁ、昨日のあれで壊れたから再発注と思ってな。物自体はストックがあるが、個々に合わせて声の出を調整するから、出来上がるまで時間がかかる」
「凄く繊細だね」
「その分性能は確かだ。知ってるだろ?」
差し障りのない場所にコーヒーを置きながら、奏多はモニターをチラ見。すぐに気づくんだから、勘も悪くないんだよな。
「完全に巽さんの声ではなかった」
「何度か試して、出来上がったのがあの声。これがないと話にもならん」
「うーん……朝陽の格好で巽さんの声……」
「勘弁してくれ」
「えー。面白いと思うのは私だけなの」
「俺にもプライドはあるぞ? ついでに言えば、享受のために店に入ったが、俺自信はノーマルだ」
「そこまで言ってないのに……」
「どう考えても、やらせたがっているとしか思えないぞ奏多」
「そこまでは……。でも興味はあるかな?」
「だから勘弁してくれ、絶対にやらん」
「意地悪」
「じゃなく、普通に考えてもおかしいだろうが」
「全く朝陽じゃないもの」
「当たり前だ。しっかり切り離して行動していたからな」
俺のまま朝陽?
幾ら奏多が言っても、それだけはやらん。気持ちの切り替えに時間が必要なんだ、そう簡単に出来るか。
裏なんてこんなもん、俺自身が『朝陽と俺は別人』と切り離したんだよ。
購入をクリックし、後はパソコンをダウンさせてから、俺は目の前のコーヒーを飲むほうを優先した。