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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第22章 どちらを選ぶ?
◇◇◇
「巽が……いや、金森朝陽と言うべきなのか。まさか奏多を庇い……」
騒ぎが起きた時、僕はすぐに監視カメラの動画をリアルタイムで回して貰った。そこで繰り広げられられた惨劇……。三科は奏多を狙い、金森朝陽は奏多を庇い自ら三科のナイフを受け……。
「まさか素で殴るとはね」
瞬間的に飛び起き、三科に殴りかかる姿に僕のほうが驚いた。金森朝陽だということも忘れ、『このやろう!』と殴る姿は巽そのもの。本人もあまりにものことに、無意識で素が出たであろうことくらいは予想はつく。
(三科を伸した後の行動、あの巽が動けないほどなのだから、ナイフは確実に巽の腕を掠めた。庇うように左腕を押さえていたのだから)
流石に不味いと、すくざま手を打ちに奔走。そのまま帰宅させること、今週中は有給扱いで療養させること。あの動画を見る限り、どちらに非があるかは明らか。僕はそれを上手く利用したにすぎない。
「それからどうなったのか……」
怪我を考え、すぐに連絡を入れることは控えた。それでも気になるのは奏多の存在。付き添うように社外に出た奏多。巽はどんな選択をしたのか気にならないわけがない。
(僕の予想でいえば、巽は恐らく……)
金森朝陽の裏をバラしたと踏んではいる。あの状況で更に隠し通すのは……無理。それに奏多はどんな反応をしたのだろうか?
(あの状況でバラせば……)
奏多は一気に巽に傾くくらい、僕にでも分かること。
悔しいが、ああまでしている巽に勝てるわけがない。