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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第22章 どちらを選ぶ?
「そもそも勝ち目の低い話だったからね」
一番始め、巽の計画を聞いた時、僕は驚きしかなかった。『なんとかそれらしく見せるから、女として入社の手助けをして欲しい』、それが巽が切り出した計画。僕も『悟られない自信があるのなら』と協力自体には了承したが、まさかあそこまで完璧な女性を作り上げるとは……。
金森朝陽、僕たちの疎遠になった従妹の名と経歴を借り、新規社員として登録。
そこで問題になったのは、奏多を受付として採用したこと。
(幾ら僕でも、社長のテコ入れには反論出来ない)
だとすれば、金森朝陽のほうを受付として配置すれば問題は解決するのではないか? 基本的に受付は二人一組、一人は奏多で決まりだけど、もう一枠は決まらずだったので、同世代社員金森朝陽を僕が推したということになる。
「上手くはいったけどね、ハプニングも沢山……かな?」
偶然の産物だが、同じ店で飲み会に参加していた二人。そこに僕が連絡してしまい、巽として店には来たが、酔いが回った金森を連れて戻って来るとは、流石に思いもしなかったよ。
あの時、奏多が眠ってしまった後、『彼女だろう?』と巽にけしかけたのは……僕。巽は渋い顔をしていたが『あぁ』と答えた。
五年振りに見る本物の奏多。それに収めたはずの僕の心が動いてしまったのは認めざる負えない。
本当は……巽を見守るだけで、僕は手を出す気はなかったというのに、あの一件で気持ちが再燃してしまい、巽を挑発することになる。