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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第22章 どちらを選ぶ?

「巽と同じく、諦めきれない奏多への想い」
終業過ぎの個人スペースで、いつもなら居る奏多に想いを馳せる。なにも出来ることがないからと、様子を見ながら差し出されるコーヒー。使っている物は同じなのに、奏多が淹れてくれるコーヒーが美味しい。それは僕の想いも込められているせい。
「だけど僕は、悩む奏多に一週間という期限を切ってしまった」
なにも知らない社員たちの妬みと嫉妬で、奏多が苦労するのが辛い。三科のような直接的ならば手の打ちようがあるが、影でコソコソと奏多を狙う連中ほど面倒なことはなく、それを解消するためにも、僕が巽のどちらかを完全に選択し公言してあげること。それが奏多が狙われない一番の方法。……奏多は悲しい顔をしていたのが、印象に強く残っている。
「……電話?
やはり巽からだね」
個人用のスマホに着信。ディスプレイに表示される相手は巽。そろそろ来る頃だと思っていたのて、僕は通話をスワイプした。
「……よう」
「怪我の具合はどうだい巽?」
「気づいていたか。昨日のうちに出血は止まっている。……まぁ、数日は痛むだろうが」
「そう。思っていたより深くなくてよかったよ」
「まあな。包帯で固定して、冷やしながら鎮痛剤を飲んでいるだけだ。それでどうにかなるんだから、そこまで怪我は酷くない」
「……それを一人で?」
「やはりそう来るか。手当てしたのは奏多だ、今俺の家に居る。というか、このザマじゃ運転も難しいんで返してやれん」

