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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第24章 最後の……過ち
(広い! というより別世界だよ)
ガラス張りの見晴らしのよいリビング、フルセットのオープンキッチン、家具はシンプルかつ豪華な品々。ここはどこ? 私はお伽噺の国にでも迷い込んだの? そう思うくらい、聖さんのマンションは壮観さを漂わせている。見ている私のほうが茫然とするくらいに。
「こんな凄い場所に一人……」
「僕の趣味……というわけではないんだよ奏多。ここも前に社長が住んでいたマンションでね、リフォームすら面倒でそのまま使っているだけ」
あの日本家屋も、このマンションも社長の持ち物。じゃあ、社長は今どこに住んでいるの?
「あの……聖さん?」
「なんとなく、奏多が言いたいことは分かる。どうして社長ではなく僕が住んでいるのかだね?」
「……はい……」
「全て祖母が生きていた頃のもの。祖母から解放された社長……父は、今違う女性と普通の一戸建てに住んでいる。あの本宅も、このマンションも、父には必要なかった。だから僕が管理しているが一番正しいね」
「違う女性と? それは再婚したということ」
「いや、籍は入れていなく、子供も作らないと断言している。ただ本当に愛している人と普通に暮らしたい。これが父の望み」
「そんなの……」
「祖母に伊礼として、徹底的に管理されていた反動とでも言うのかな? 社長以外のことは、普通を望んだんだよ。僕たちも同じだけれど」
普通を望む。それって、凄い選択だよ。普通じゃない生活をしていたのに、急に普通になるのは難しいと、私は思うの。