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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第24章 最後の……過ち
「僕たちも……それは聖さんもなの?」
「そうだね。こんな豪華なマンションより、あの日本家屋でのんびりと生活しているほうがいい。一日中書や花に囲まれた穏やかな日常、それが僕の望むもの。……現実はこうだけど」
「聖さんの意思じゃない……」
「伊礼を継ぐことを反対しているわけではないよ。ただプライベートは普通でありたいと思うだけ。……それも上手くいかないね」
そんな思いを聖さんが持っていたなんて……。そして巽さんも……。みんな普通でありたいと思っている。
大会社の社長や社長息子なのに、求めるものは平凡な日常だと誰が思うのだろう。多分皆はセレブな生活をしていると思ってる。実際にそうだけど、本当は不服だと気づく人なんて……いないよ。
「だからこそ、奏多が唯一の望みだったんだよ。飾らなく普通でも、光るものを持っている奏多。見た瞬間、強烈に僕の心を惹いた奏多。それもここまでなんだね……巽を選んだ、だね奏多?」
「聖さん、やっぱり気づいて……」
「気づくよ。わだかまりなく話す巽と奏多を見れば。金森朝陽のことすら受け入れたと、すぐに気がついた」
「そう……。ごめんなさい聖さん」
「謝るのは僕のほう。本当は巽のやることには、静観の構えだったのに、目の前で奏多を見てしまい横やりを入れたのは僕なんだよ奏多」
「……え?」
「巽の相手が奏多だと知っても、僕は関わらないつもりだった。そっと巽を応援するつもりだったのに、あの店で酔った奏多を巽が連れて来たことで、僕の収めたはずの心が再燃してしまい、巽を挑発してしまっていた」