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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第24章 最後の……過ち
じゃあ、なぜそんな悲しそうな瞳をするの?
ケジメと言いつつも辛い顔、それは私も同じ。こうして聖さんにハッキリと言うのが辛かった。言葉通に三人一緒だったら、私はこんなに悩まずに済んだのに……。だけど突きつけられる現実は、全て本当のこと。二人共に選ぶなんて出来ない、そんなことをすれば、巽さんと聖さんの立場を悪くするだけ。……苦しいけど、これしかないの。
「奏多……奏多っ!」
巽さんより広い胸で、私をキツく抱き締める聖さん。まるで心の中に刻むような抱擁。ずっと記憶に残るように、そしてずっと記憶に残して欲しいように、キツくとも想いが詰まる抱き締めかた。
「聖さん……」
「……奏多?」
「泣かないで。私は消えるわけじゃない、選んでも近くに居るよ? また聖さんの部屋でコーヒーを淹れるから」
「そうだね。前のように完全に消えてしまうわけじゃないんだったね。選んだ後も同じようにコーヒーを淹れてくれたら、僕は嬉しいよ」
「それは約束します」
聖さんの頬に触れながら『約束』という言葉を使った私。巽さんを選んだとしても、聖さんとの縁が切れるわけじゃないもの。今までのように、聖さんの個人スペースでコーヒーを淹れたり、書類を束ねたりするのはアリだと私は思う。
「……奏多……」
「……ぁっ……」
頬に触れていた私の手を取り、聖さんとキスをかわす。ゆっくりと触れ合う唇と唇。急ぐのではなく、確かめるように動く聖さんの唇。