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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第25章 社長の前での決断

巽さんのマンションから私のマンションまでは、車だと十分かからない。そんな車内で、先ほど考えていたことを巽さんに質問してみようと思う私。

「あのね、正式ってことはリクルートスーツのほうがいいんだよね巽さん?」
「まぁ、基本的にはそうなるな。だがな、ほぼ個人的なものだろうから、違う服装でも構わないんじゃないか?」
「どうしよう……。リクルートスーツって一着しかないのよ。違うと言われても、どのラインの服装にしていいのか分からないし、本当にどうしようかな」
「まぁ、普通一着か。うちの会社の女子社員は基本制服だしな。違うのと言えば、ツーピースくらいの節度ある服装……あるか?」
「微妙かも」
「そうくるよな。ちょっと寄り道するぞ奏多」
「へ? 巽さんどこへ?」
「服の調達」
「えぇーー!?」

あ、あまり見ていないけれど、あのクローゼットを探せば、なんとか合わせられる服はあると思うのに、巽さんは車をUターンさせて、マンションとは違う場所に向かっている。

「時間的にオーダーメイドとはいかんから、俺が知っている店で着替え込みになる」
「そこまでしなくても……。クローゼットを漁れば、多分聖さんが用意した、それなりの服はあるはずだから!」
「それじゃあ、俺が不服だ。しっかり奏多に合う物を探してやるよ」

な、なんか……とんでもないことになってない? 巽さんが選ぶ服って、どんなのだろう? 今の巽さんを見る限り、変なのは選ばないとは思うけど、なんとなく不安もあるのよ。

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