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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第25章 社長の前での決断
不安って当たるものなのよ。巽さんに連れられて来たのは、表通りの高級アパレルショップ。予想が当たるって、こういうことを言うのよね。
「??
どうした?」
「凄い高そうな店だなって」
「気にすんな、ほら来いよ」
「巽さん? うわっ!」
私の手首を掴み、巽さんは店の中に入っちゃった。もうイケメンエリートと、普通の人って気分満載。これだけは仕方がないよ、私には縁遠い場所だもん。
「いらっしゃいませ伊礼様。今日はどのような品をご所望でしょう?」
「今日は彼女の全身コーデだ。社長との面会が入っているから、それを踏まえて選んでくれ。俺も選ぶがな」
「かしこまりました。嫌みにならない程度のスーツ、この辺りでコーデを組ませて頂きます」
「あぁ、頼む」
私、一言も言えず。
出るところに出ると、巽さんって結構な上から目線だと思う。それが必要なのは分かるけど、巽さんの普通を知っている私は心境複雑中。
「少し中を歩くか?」
「は、はい」
「あまり固くなるな奏多。自分の好みでもいいんだ」
「探して……みます」
「……やれやれ」
そう言いながら、店の中を歩き始める巽さんの横に並んで私も歩く。きらびやかなコーデディスプレイを眺めながら、私自身もなにが合うのだろうなんて考えているよ。
(……あっ!)
私の目が引いたのは、限りなく白に近いベージュと黒を組み合わせたスーツ。デザイン的にはシンプルなんだけど、黒のラインが強調されていて、隠したい場所は隠してくれるような感じが目についたの。