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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第25章 社長の前での決断
だけど……このサイズのダイヤって、幾らするの? トータルコーデをして貰ったけど、怖くて金額なんて聞けないわ。……鏡に映る私は、ちょっと心配そうに巽さんを見上げてる。考えてみれば、社長息子でも金銭面ってどうなっているんだろう? あんなマンションに簡単に住めたり、高そうな車に乗ったり……会社の給料じゃ間違いなく賄えないよね。それも不思議の一つなの。
「気に入らないのか?」
「そんなことないよ。ただ私には過ぎたものかなって考えてた」
「その辺りは心配すんな、全て俺が出してやる」
「高いのに……」
「そっちな。祖母が他界した時、莫大な遺産相続があり、会社関連は親父に個人資産は俺と聖が引き継いだ。まぁ、そんな流れだな」
「想像出来ない……」
「普通だったら、一生遊んで暮らしても有り余る程度とでも思っておけ」
本当に次元が違うというか、セレブのお金事情は怖くて聞けないというか、アッサリ言われて言葉が出ないというか、こればかりは価値観の違いだと思う。考えても想像出来ないもの。
最後にコートを着せて貰い店からは出た。どうやら私がメイク中に、巽さんはしっかり支払いを済ませていて、なに食わぬ顔をしているのよ。気を使ってのことだとは分かっていても、少しだけ心苦しい。
「このまま会社に向かうの?」
「あぁ。親父に会う前に、もう一度聖と話し合いたいからな」
「そう……。こんな格好で社内に入ったら、またなにか言われそうで……」
「そのための俺だろ? 不安がるな奏多、堂々としていろ」
「頑張ってはみるよ」