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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第25章 社長の前での決断

「あぁ! 巽さん、丁度いいところに!」
「ん?」
(あれは、企画開発の部長さんだったよね)

小走りに巽さんの元に走って来る、壮年の男性。この会社の企画開発担当で、かなり手広く展開させた人物として、社内では有名なの。そう、前に巽さんは企画開発にって言っていた。

「エントランスに来ていると聞きまして、少し話を詰めたい案件があったのですが、お時間宜しいでしょうか?」
「すまんが今日は社長からの呼び出しだ、時間は空かないだろう。案件はそうだな、近日中にもう一度顔を出す、これで問題ないか部長?」
「はい。今日明日という話でもありませんので、近日中で構いはしません。ただ巽さんの意見が欲しいところでもありますから、一時的に手を止めお待ちしています」
「あぁ、持ち出し可能な書類であれば、いつものように聖に渡してくれ。持ち帰り確認する」
「分かりました、伊礼課長に回しておきます」
「頼んだ」

話は終わりと、巽さんは私を連れ立って歩き出す。それにしても、有名部長さんが頼りにするほど、巽さんって能力も高いんだ。私は社内での巽さんは殆ど知らない。朝陽をやる裏で、こんなことをしていたと最近知ったくらいだもの。

その後は誰にも呼び止められることもなく、エレベーターに乗り込み聖さんの個人スペースまで来れた。これ以上なにかあったら、私のほうが保ちそうにない。凄いよ周りの目、特に女性社員の巽さんを見る目が、聖さんを見ている時と全く同じ。俺が目立てばとは言っていたけど、本当に巽さんの迫力に私が霞むくらいにはインパクト十分なのよ。

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