この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第25章 社長の前での決断
「おや? 随分と気合いを入れて飾られて来たね奏多?」
「私もそう思います、聖さん」
「普通だろ」
部屋に入った早々、今までが嘘みたいなお気楽会話。巽さん、聖さんには普通なんだよね。私としては、ここまで来るだけで緊張し放しだったのに……。
「それで親父は?」
「今は外出だけど、夕方までには戻って来るね」
「内容を少しは聞けたのか?」
「予想通り、奏多のことで社内が騒がしくなっているための事実確認」
「色々と含みあり……か」
「数日前に、エントランスで派手にやったのが決め手になってしまった、かな?」
「だろうな」
デスクの手前にあるソファーに座り、巽さんはまた渋い顔。三科さんの話も込みだったら、最悪聴聞ということもあり得る、そんな雰囲気を漂わせている。
「あぁ、金森朝陽に関しては社長にバレているからね、巽もそこそこに言われると覚悟はしたほうがいい」
「そりゃバレてるだろうよ。別にこっちが先に手を出したわけじゃなし、あの話だったら幾らでも言い切ることが出来る」
「金森朝陽自身に関してという意味もあるのだけどね巽?」
「ちっ、そっちか。さぁ……なんて言い訳するべきだろうな」
話が私より巽さんのことになってる。元々は私のせいなのに、巽さんが責められるのは辛い。でも私では社長がどんな人か分からず、なんて言っていいのかも予想が付かないの。
「……あ、コーヒーでも淹れますね」
「ありがとう奏多」
「おぅ」
つい給湯室に逃げたけど、私も心の準備が必要そう。特に……どちらを選ぶかハッキリさせるまで、巽さんの朝陽をやったことは庇ってあげたいよ。