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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第25章 社長の前での決断
聖さんはデスクで、私と巽さんはソファーで、それぞれコーヒーを飲んでいるんだけど、これからのことを考えると気が気でならないの。もし社長が初めから否定的だったら? そうなると、私は退職も含む話になるよね? 心は決まったのに、更に大きな壁が立ち塞がって、私の決断を阻んでいる、そんな考えしか頭に浮かばない。
「……奏多?」
「どうした奏多?」
「……大丈夫かなって。どうしても最悪の考えしか思い浮かばないよ」
本音を吐露しても、私の気持ちが晴れることなんてない。選んで否定されたら、私は……立ち直れないと思う。
「少し脅し過ぎたかな?
社長はそこまで偏屈なタイプではないよ奏多?」
「まあな。今更朝陽の話が出ているが、親父は初めから知っていただろうよ」
「まぁ……初めは呆れて笑ってはいたと思うね」
「あんのっ……」
朝陽のことを問い詰めようとしているのに、朝陽を見て笑ってた? もうイメージがバラバラで、ますます社長のことが分からなくなりそう。
「あのー……聞いてもいいですか?」
「なに?」
「ん?」
「社長って……どんな人なんですか?」
聞いてはみたものの、二人が顔を見合わせちゃったよ。これって聞いたらダメだった?
「なんと言えばいいのかな? 仕事と言えば優秀だよ。代替わりしてから、ここまで業績を伸ばした人だからね」
「私生活と言えば、再婚して今の妻と近くに一軒家を建てて二人暮らし。俺たちの母親は政略結婚だったからなぁ……お互い反りは合わなかったんだ」