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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第25章 社長の前での決断
聖さんの話は、この会社に居ればよく聞く話。
巽さんの話は、聖さんから少し聞いた話だよね。
そうじゃなくて、人柄とか知りたいのに、中々答えてぐれない。
「心配はないよ奏多。僕は悪いようにはならないと思っている」
「親父だからな。脅すわりには最後は甘い。自分こそ妻とラブラブ生活中なのに、人のことを言えるか?」
「仕事面で言われるのは仕方がないよ巽、それは僕でも止められない」
「やることはやってるぞ? 息子の私生活は構うなよ。稀に向こうの家に行けば、イチャイチャを見せられるこちらの身にもなれってんだ。たくっ……」
「……余計に分からないよ……」
混乱に混乱する社長の性格、支離滅裂って言うの? 巽さんが言うのと、聖さんが言うのでは正反対に私は聞こえる。どちらを信じればいい? 質問して墓穴を掘ったこの気分、聞かなければよかったかも……。
「まぁ、公私は分けるタイプと考えていいよ」
「そこまで深く考えるな奏多。あの親父だ、公私は分けても私的に会うと言ってんなら、そこまで強行な態度には出ないさ」
「……はあ……」
無理、絶対に無理だよ。考えるなってほうが無理。聞けば聞くほど緊張が高まる、不安で堪らなくなる。コーヒーカップを持つ手が少し震えているくらい、私にすれば社長は高みの存在だもん。
無駄に時間があったせいで、更なる緊張にガチガチになってしまった私。そこに部屋の内線が鳴ったの。内容は勿論、社長が帰って来たので社長室に来るように、だったよ。二人は気楽に立ち上がるが、私は心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしながら、三人揃って社長室へと向かう。