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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第26章 もう過ちじゃない
後ろ向きだった奏多がクルッと振り返り、両手で俺の頬を包む。
「男性が怖かったのに、私の心を開いてくれたのも。生出しに気づいて、病院に連れて行ってくれたのも。三科さんから、私を助けてくれたのも。全て巽さんだった。そんな優しい巽さんだから、私は巽さんを好きになったんだよ?」
「ああ」
「朝陽のことも……。私のためだったって、私のためにあんなことをしてくれたって、そう気づいたら自然に好きになっていた。……私は巽さんが好き。この心はもう変えられないの」
「俺もだ。唯一愛しいと思った女、それが奏多だ。中学のあの日からずっと、俺の中には奏多しか存在しない。……愛している奏多」
「……巽さん……」
奏多の手に俺の手を重ね、惹かれ逢うように触れる唇、奏多の愛情の証。
この想いを抱いてもう五年……いや七年か? きっかけは些細なことだったかも知れん、それが年を追うごとに膨れ上がり、漸くこの手に掴んだ幸せ。俺の一生をかけて奏多を愛すること、守り慈しむこと、二人で幸せになること。今の俺にはそれが全てなんだ。
「巽さん……ンッ……」
「はぁぁ、激しいな奏多?」
「もう心を抑えなくていいもの。私を巽さんで染め上げて?」
「言われなくてもそうするさ。……俺しか見えないように、俺だけの女になるように、しっかり俺を分からせてやるよ奏多」
「うん。私はもう巽さんのものだもの」
俺に合わせるように絡まる奏多の舌。『互いに』と言ったのは俺だが、奏多はそれを素直に受け取ってくれたんだよな。