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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第8章 営業マンは受付嬢が好み
「無しと言われても……」
いつも仕事として三科さんに会っているので、急に敬語は無しと言われても出てこない。それだけ三科さんが受付に来ているとも言うよね?
気楽に話す三科さんと、ちょっと困りぎみの私。どうしても敬語は抜けない、これだけは致し方ないでしょう。
「友達と話すようにしたかったのに……。金森さんとは普通に話しているよね、俺でさえ時々聴く」
「朝陽は別です。同じ同僚でも、私は朝陽を友人だと思っています」
「妬けるね。金森さんにも、夏目さんにも。
それとも二人はそういう関係?」
「冗談言わないで下さい!」
あ……私、こんな場所で大声なんて出して、空気を読んでいないのと同じ。
でも、朝陽をそんな目で見る三科さんに不信感を持ったのよ。女性どうしの友情を、そんな風に見ないで!
「……ごめん、言いすぎた」
「私こそ、大声を上げてすみません」
「羨ましいんだ。俺には同僚だったら沢山居るけど、友人は少ないから。
夏目さんと金森さんが羨ましい……割って入りたいくらいに」
「三科さん……」
営業は人員豊富、話す同僚に困ることなんてない。好き嫌いの差はあるかも知れないけど、常に周りには誰かが存在する部署。
逆に私は、朝陽と二人っきり。種別的には総務部に含まれるよ、でも上司から指示されることが少ないくらい、個人主義なポジショニング。
この違いが羨ましいの?
新人なのに急に受付に回された私には、この辺りの価値観が解りにくい。