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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第8章 営業マンは受付嬢が好み
「では選ばなければいいと思います。三科さんにとれば、私と朝陽は同じ……そう、受付嬢という花なだけ。それは好きとは違う、見た目の憧れだけです」
「夏目さん……」
勢いあまって言ってしまった。だって三科さんは私達個人を見ているんじゃなく、『受付嬢』というレッテルを見ている、そう思ったのよ。
(あれ? なんだろうこの既視感。前にも同じことを私は思った?)
なにが引っ掛かったの?
今の会話の中で?
三科さんが言ったこと?
私が言ったこと?
(違う、私が考えたこと。
『受付嬢というレッテル』が、あの時の考えと同じだったから)
『社長息子というレッテル』、私はそう考えたの。
巽さんに対して思ったことと、三科さんに対して思ったことは一緒。
どちらも見た目や立場に惑わされる。私……今になって気づくなんて、馬鹿だよね。
このまま居られないと、自分の分のお金を置いて、三科さんと別れ店からは出た。
だって、話はいつまで経っても平行線だと感じたから。似たような経験を何度もするなんて、私は懲りないね。ちょっと自分が嫌になる。
無駄な時間だったとは思わないけど、必要のない時間だったとは思える。誘いに乗らないで帰宅していれば、少しはゆっくり出来たのに、同僚という言葉を信じた私も悪い。
「近頃なんだろうね?」
男性が苦手なはずなのに、巽さんに三科さんと、ここのところの私は男性ばかり。
三科さんの『美人』という言葉は捨て置いて、こんな私に言い寄る男性が居ただけでも驚きなんだから。