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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第9章 社長息子は眉目秀麗
「聖……さん」
「僕が怖い?」
「……畏れおおくて」
首を降って怖いだけは否定するけど、曲がりなりにも雇われている会社の社長息子なんだよ。萎縮するのが普通じゃないの?
「立場で見られるのは嫌だな。僕だって普通に生きているし、個人の感情もある」
「…………あっ」
私また……。
『受付嬢』というレッテルに反感を持ったのに、社長息子というだけで同じことをしてる。これじゃ駄目、ちゃんと聖……さん個人を見なきゃ駄目。
「ごめんなさい、私……」
「分かればいい話だね、奏多はしっかりとわかっているようだから、僕からはここまで。……さて、言ったはいいが、どこに行こう。
本当はあまり考えていなかったんだよ」
「……くすっ」
私に向かい困った顔をする聖さんが面白くて……。あれ? 車は迷いなく走っている、もしかして私をリラックスさせるために、わざと話を振った?
社長と同じ細かいところまで見てる、それは凄いことだと私は思う。その立場があれば天狗になってもよさそうなのに、聖さんは違う、違う人種なんだね。
「……それで、どこに向かっているんですか?」
「おや、バレたかな。
行き場所は僕の家。古い家で申し訳ないが、一番心安らぎそうだと思った」
「聖さんの……家ですか?」
「不安?」
「……少しだけ」
先ほどの今だもの、不安が無いと言えば嘘になってしまう。だから素直に話したけど、これって良かったの? 私また変なことを言ったの??