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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第9章 社長息子は眉目秀麗
「みなまで問わないが、怖い気持ちは理解出来るよ。
……無理なことをされたね。こんなことは、あってはならないというのに。
そう、僕の家とは言ったけど、住んでいるのは僕の他に、住み込みのお手伝いが二人居るから、そこは不安がらないで欲しい」
「お手伝いさん」
「古くて大きい日本家屋で、僕一人では維持出来なくてね。父の頃から来てもらっている信用できる人だよ。奏多が来ても大丈夫、しっかりもてなしてくれるから」
「そんな、もてなしなんて……」
話がどんどん大きくなって、別の意味で不安になりそう。聖様と呼ばれるくらいだから、お洒落なマンションなんかに住んでいると思っていただけに、お手伝いさん付きの日本家屋は、私にすればかなり意外。
「僕の家に来てくれた人は皆お客様。あぁ、一人だけ……巽だけは違うね。向こうも好き勝手に出入りしているし……。そこは兄弟ということで、来ていたら許してあげて欲しい」
「巽……さんが来るんですか?」
そ、そうだよね、兄弟だものね、来ていて当たり前なんだよね。……って、なんで私はこんなに動揺しているんだろう。
(もう会えない人だと思っていたから)
三科さんのことがあったくせに、すぐ巽さんの話に飛び付くなんて、私もどこまで懲りないのよ?
巽さんは、あくまでも可能性の話で、会えるわけでもないのに、私はなにを考えているんだろうね。