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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第9章 社長息子は眉目秀麗

「気になるかい、巽が」
「……え?」

まるで心を読まれたような聖さんの言葉に、私はドキッする。本当に読まれた気がして……聖さんと居るのに巽さんのことを考えていたって。

「あの時、奏多を連れ帰ったのは巽だからね。……僕のほうが少し気になっているのかな?」
「巽さんが私をあの店から連れ出したんですか?」
「君は眠ってしまったから、巽が送ったことに気づいていない?」
「……途中からは覚えています」
「そう、途中から……」

なにかが変だと思う、意味深な聖さんの言葉。
あの時、ぶつかってしまったのも、介抱してくれたのも巽さん。……その、色々あったけど。
なのに聖さんが気になる?
それって少し変、だってあの時の聖さんは、あまり頓着していない感じだったもの。

「どうして気になるんですか? 私は聖さんにご迷惑をおかけしましたか?」
「いや、君はすぐに眠ってしまったよ。なにも迷惑なんてかけていない。ただ……なんと言えばいいのか」
「???」

言葉を止めてしまい、続きの言葉をくれない。
『なんと言えばいいのか』、その先が凄く気になるでしょう?

「そうだね、先を知るのは奏多君次第……かな?」
「私次第?」
「君が知りたいと思うのであれば、おのずと答えが出るだろう。今の僕が言えるのはここまでだね」
「???」

余計に分からなくなるよ。
聖さんと巽さんが、私を構う理由だなんて、そんなものあるわけがないもの。
だけど……嘘とは思えない聖さんの言葉が、どうしても引っ掛かる。

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