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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第9章 社長息子は眉目秀麗
◇◇◇
風呂から出ると、先ほどのお手伝いさんが着物を用意して待っていたの。びっくりするでしょ?
「えーと、あの……」
「着ていた物はクリーニングに出しましたので、こちらにお着替え下さい」
「でも着物は着たことがなくて着付けが分かりません」
「それはお手伝いしますので、まずは長襦袢だけを羽織って下さい」
渡された長襦袢という物を、脱衣所で身に付けてはみたけど、これで合っているの? 左右の併せを間違えなきゃ大丈夫だよね、それくらいは浴衣で覚えてはいる。
「これでいいんでしょうか?」
「はい、少し手直ししますが大丈夫ですよ」
そこからは早い早い。
私が着た長襦袢を調整し、ベージュ色のような無地の着物を着付けられ、薄青に藤の模様かな? 綺麗な帯を手際よく形作れば完成。その時間三分、凄い手慣れているよ。
「これで宜しいです、似合いますね。
さっ、聖さんがお待ちしているかも知れませんので行きましょう」
「は、はい」
私はされるがままに着せ替えられ、また別の廊下を歩く。自分で見ていないけど、この着物合っているの? 始めてなので少し心配。
心配と言えばもう一つ、着物って首元が微妙に開いていて、痣を隠せていない。
風呂で見た時は、温めたおかげで僅かに薄くはなったが、まだ目立つとは思う。
(ちょっと嫌かも……)
私自身が嫌なの。
三科さんに屈したようで。
そもそも、三科さんの話に乗った私が悪いんだって。