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社長息子は受付嬢を愛慕う(仮)
第9章 社長息子は眉目秀麗
座ってから15分くらい経ったのかな? 漸く聖さんが居間に姿を現したの。
(……和風。会社で見るのと全然違う)
仕立てのよさそうな、グレー色の無地……うんん、生地自体に模様が入っている着物に羽織り。こうして見ると、巽さんより背が高く、体つきも若干しっかりしている。
巽さんが茶髪だったのに対し、聖さんは黒髪。どちらも少し上げてセットしているのは同じ感じ。兄弟でもこれだけ差が出るんだね。
「すまない待たせたね」
「いえ、お邪魔しているのは私ですから」
「待っていると呼びに来られたよ。まぁ僕も持ち帰りの書類整理をしていたのが悪いのだけどね」
話ながら私を通り越し、聖さんは上座に座る。これが当たり前の位置関係。
「それにしても……随分と張り切って作ったようで凄い料理の数々だね。普段は客など来ないから、ここぞとばかりに出されたかな?」
「いつもこうなのでは?」
「まさか。接待や付き合いで、帰宅が遅い時もあるから普通だよ」
「そうなんですか」
毎日こんな豪華料理を食べていると思ったけど、意外に違うんだぁ。上流家庭は毎日……これは私の偏見らしい。
「さぁ、遠慮しないで食べなさい。僕も少しお腹が空いているからね」
「あ、いえ、外で食べてしまったので、沢山食べれる自信はないです」
「飲みに出ていたんだったね。では食事よりお酒?」
「……少しだけ……」
この緊張感を誤魔化すには、多少のお酒は仕方がないでしょう?
聖さん相手に、素面で付き合えるほど、私の心臓は頑丈じゃないのよ。